日本神経回路学会誌
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解説
計算論的神経科学から眺めたリハビリテーション—現状と展望—
瀧山 健
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2013 年 20 巻 3 号 p. 108-122

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抄録
本稿では計算論的神経科学の視点からリハビリテーション,特に脳卒中リハビリテーションへアプローチする方法の一つを紹介する.第一に,腕の到達運動そして外乱学習に着目し,運動プリミティブの枠組みに基づく運動学習の数理モデルを紹介する.第二に,到達運動そして外乱学習において,各病態(小脳疾患,パーキンソン病,ハンチントン病,脳卒中)の患者と健常者の行動を比較する.第三に,脳卒中リハビリテーション方法をいくつか紹介する.最後に,計算論的神経科学の観点から脳卒中リハビリテーションに対する仮説を提唱する.すなわち,脳活動計測から推定できる両半球の一次運動野間の機能的結合の強度が十分強い脳卒中患者には両腕運動に基づいたリハビリテーションが有効であり,その機能的結合の強度が弱い患者には片腕運動に基づいたリハビリテーションが有効である,という仮説を計算論神経科学の観点から提唱する.
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© 2013 日本神経回路学会
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