抄録
リカレンスプロットは,アトラクタ上の二点間の相関関係を視覚化することで,データに潜む非定常性などを検出できるツールである.このようなリカレンスプロットの有する特徴を用いることで,非線形力学系に対して緩やかに変化する入力信号の検出が可能となることが知られている.本稿では,この考えをニューロンから出力されるスパイク列の発火間隔を対象とした場合に拡張し,リカレンスプロットを用いたニューロンへの入力信号の検出を行う.その際,リカレンスプロット間の距離を定義することで,検出精度の定量化を行った.その結果,検出精度はニューロンの発火パターンや入力周波数に依存することが分かった.また,カオス的な発火パターンを有する場合にも,発火率のリカレンスプロットを用いることで高精度な入力信号の検出ができることが可能となることを示した.