日本神経回路学会誌
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21 巻, 2 号
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巻頭言
解説
  • 佐村 俊和, 林 初男, 酒井 裕, 相原 威
    2014 年 21 巻 2 号 p. 50-56
    発行日: 2014/06/05
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    記憶に関与する脳の海馬にはCA3と呼ばれるリカレントネットワーク構造の領域が存在する.我々はCA3領域における指向性を持つ神経活動伝播が,海馬の時系列記憶形成機構の解明の鍵になると考えている.リカレントネットワークを用いた神経活動伝播に関する計算機シミュレーション結果より,抑制性結合の回路構造から推測される抑制(静的抑制構造)と活動中のネットワークに生じる抑制性結合の回路構造から推測されない抑制(動的抑制構造)の2つによって神経活動の伝播方向が制御されることを紹介する.また,これらの神経活動の伝播方向の制御機構とCA3領域との解剖学的な対応から,静的抑制構造と動的抑制構造によってCA3領域の神経活動伝播が制御されていることが示唆される.最後に,静的および動的抑制構造を生み出す抑制性介在細胞の軸索投射の異方性と偏りへの着目や,神経活動伝播に基づく海馬の時系列記憶形成機構の解明を目指す研究の必要性に関して議論する.
  • 下川 哲也, ライプニッツ 賢治, ペパー フェルディナンド
    2014 年 21 巻 2 号 p. 57-63
    発行日: 2014/06/05
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    脳科学分野と情報ネットワーク分野との横断的研究として,脳機能ネットワークのグラフ理論解析を中心に解説する.前半は脳科学者を対象に,グラフ理論の解説とネットワーク研究の現状を紹介する.後半は情報ネットワーク研究者を対象に,新しいネットワーク設計の参考になりそうな脳ネットワークの特徴を紹介する.
  • 鳥飼 弘幸
    2014 年 21 巻 2 号 p. 64-69
    発行日: 2014/06/05
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    本稿では様々なニューロハードウェアの幾つかの側面からの比較を概観します.そして我々のグループで近年開発を進めている非同期分岐プロセッサとその位置付け,そしてそのニューロハードウェアへの応用例について解説します.
  • 中野 秀洋
    2014 年 21 巻 2 号 p. 70-78
    発行日: 2014/06/05
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    ニューラルネットワークは個々の動作が単純であり,高い並列性を有する演算が可能であるため,大規模な組合せ最適化問題を効率的に解くことができる.一方,進化的計算の研究分野では,実数値の設計変数を最適化するための優れた手法が数多く提案されている.本稿では,第一段階でニューラルネットワークを用いた組合せ最適化によって設計変数の削減を行い,第二段階で進化的計算を用いた実数値の設計変数の最適化を行うことで,大規模最適化問題を効率的に解くアプローチを紹介する.本アプローチは,様々な工学システムの最適化に対して適用できると考えられる.筆者らの最近の研究対象である無線センサネットワークにおける問題を例題として取り上げ,本アプローチの有効性と今後の発展性について議論する.
  • 藤原 寛太郎, 黒河 徳大, 山田 泰司, 池口 徹
    2014 年 21 巻 2 号 p. 79-86
    発行日: 2014/06/05
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    リカレンスプロットは,アトラクタ上の二点間の相関関係を視覚化することで,データに潜む非定常性などを検出できるツールである.このようなリカレンスプロットの有する特徴を用いることで,非線形力学系に対して緩やかに変化する入力信号の検出が可能となることが知られている.本稿では,この考えをニューロンから出力されるスパイク列の発火間隔を対象とした場合に拡張し,リカレンスプロットを用いたニューロンへの入力信号の検出を行う.その際,リカレンスプロット間の距離を定義することで,検出精度の定量化を行った.その結果,検出精度はニューロンの発火パターンや入力周波数に依存することが分かった.また,カオス的な発火パターンを有する場合にも,発火率のリカレンスプロットを用いることで高精度な入力信号の検出ができることが可能となることを示した.
  • 松原 崇
    2014 年 21 巻 2 号 p. 87-92
    発行日: 2014/06/05
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    脳や神経系の活動を把握することは,その計算機構の解明に重要であり,様々な粒度で研究がなされてきた.脳の活動は酸素を消費し,血中酸素濃度を変化させる.fMRIは人体に磁場をかけその応答を取り出すことにより,血中酸素濃度に依存する信号(BOLD信号)を得ることが出来,脳の活動部位を調べることが出来る.非侵襲な脳活動の計測法として広く用いられているが,BOLD信号からは脳活動を間接的に知ることしか出来ないため,背後にある脳活動を明らかにする数理モデルが多数考案されてきた.本稿では単一の神経組織に関するBOLD信号の数理モデルと,それらのネットワークを対象とした数理モデルを紹介する.
  • 柳瀬 勇作, 斎藤 利通
    2014 年 21 巻 2 号 p. 93-100
    発行日: 2014/06/05
    公開日: 2014/07/31
    ジャーナル フリー
    積分発火スイッチを含む非線形システムは様々なスパイク列を出力することができる.そのようなシステムの解析は,スパイキングニューラネットなどの動作の理解とその工学的応用の基礎として重要である.本稿では,典型例である分岐ニューロンを用いて,基本的な分岐現象を解説する.その内容は,著者らの行ってきた研究成果に基づいている.
報告
会報
編集後記
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