日本神経回路学会誌
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ヒトスケールマウス脳モデルはヒト脳モデル足り得るか?
山﨑 匡
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2025 年 32 巻 1 号 p. 3-11

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抄録

過去数十年にわたる計算機の指数関数的な性能向上の結果,単一ニューロン・単一シナプスのレベルで,非常に巨大な脳のスパイキングネットワークモデルを構築することが可能になってきた.現在ではその規模を1,000億ニューロン相当まで拡大し,ヒトスケールの脳モデルを構築することすら技術的には可能である.さらに,そのような巨大なモデル構築に必要となる脳の構造と活動のデータも,特にマウスに関しては非常に良く整備されている.そこで,マウスのデータに基づいて脳のスパイキングネットワークモデルを構築し,それをヒト規模までスケールアップさせることが可能だが,そのようなヒトスケールマウス脳モデルを,ヒトの脳モデルとみなして良いだろうか? 本稿では,まず大規模神経回路シミュレーションに関する我々のこれまでの取り組みを紹介し,さらにヒトスケールマウス脳モデルはヒト脳モデル足り得ないという否定的な見解を示す.最後に,その見解に対して我々が現在進めているプロジェクトを紹介する.本稿の内容は,中江 健氏らによって2024年9月19~21日に開催された,Digital Brain Workshopでの著者の講演を元にしたものである.

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