抄録
現在の「子ども・子育て新支援制度」下でも母親が未就業の家庭の3歳未満児は通園による保育サービスの対象外である.そこで本研究では,在宅育児家庭の3歳未満児に対して通園に準じた保育サービスを提供するA県の事業をモデルケースとして,保育士からみた通園に準じた保育の効果を明らかにすることを目的とした.保育士9人を対象にグループインタビューを実施し,語られた内容の質的分析を行った.その結果,母親への効果として<母親が外とのつながりができる><母親が子育てについて学べる><母親がエンパワーされる><母親の考え方が変化する>という効果がみられた.子どもにとっても<発達の広がり>の側面で効果がみられた.よって,在宅育児家庭の3歳未満児の保育は母子双方へ有益であることが示され,今後information and communications technologyやロボットなどの導入による保育の負担軽減と効率化を図ることで,3歳未満児の保育が在宅育児家庭へも普及拡大することが望まれる.
【キーメッセージ】
1.今回の研究は看護・介護のどのような問題をテーマにしているのか?
研究を行うきっかけとなったことはどのようなことか?
→ 現状では保育サービスを受けることができない在宅育児家庭の3歳未満児を,保育施設で保育することがもたらす効果についてをテーマにしています.
2.この研究成果が看護・介護にどのように貢献できるのか?あるいは,将来的に貢献できることは何か?
→ 通園保育が拡がることで,3歳未満児を在宅で育児する養育者の不安や負担軽減につながると考えます.
3.今後どのような技術が必要になるのか?
→ 保育士の観察を補助するシステムの開発など,より安全な保育ができる環境を整える技術が必要と考えます.