抄録
目的:研究目的は看護師の身体的負担の低減を目指した高齢者のポータブルトイレでの排泄における下衣の脱着介助方法を明らかにすることである.方法:修正デルファイ法を活用し,ポータブルトイレ排泄時の下衣の脱着介助方法に対する専門家の意見集約を行った.専門家は臨床経験が10年以上でポータブルトイレ排泄介助の指導が可能な看護師5
名と,彼らが優れていると判断した理学療法士・作業療法士各1名であった.合意基準は9件法の中央値7以上とした.結果:看護師の身体的負担の低減を目指した介助方法として,下衣の脱衣介助は患者を便座に座らせてから行う方法で5要素・19工程,着衣介助は着座時に下衣をたくし上げたあと,患者を立位にしてから行う方法で5要素・17工程が示され,中央値8~9で合意した.結論:提示した下衣の脱着介助方法はポータブルトイレ排泄にかかわる看護師の安楽な介助方法の一助や看護技術への提案になると考える.
【キーメッセージ】
1.今回の研究は看護・介護のどのような問題をテーマにしているのか?
研究を行うきっかけとなったことはどのようなことか?
→看護師の身体的負担が高い排泄介助に対し,負担低減を目指した脱着介助方法を提案したいと考えた.
2.この研究成果が看護・介護にどのように貢献できるのか?あるいは,将来的に貢献できることは何か?
→ 高齢者など下肢筋力が低下した人に携わる看護師や在宅介助者に対し,介助方法の1つとして応用が期待できる.
3.今後どのような技術が必要になるのか?
→本介助方法に対する看護師の身体的負担低減の検証および安全性や安楽性の検討が必要である.