看護理工学会誌
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速報
スマートフォンで撮影した画像の特徴検出と色比較処理を用いた尿検査用試験紙の自動判定システムの開発
稲垣 圭吾天野 優子谷 重喜中村 和正
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2023 年 11 巻 p. 20-27

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抄録
 尿検査用試験紙の判定は,尿検査用試験紙をカラーチャートと視覚的に比較して行うため,個人によって判定が異なる可能性がある.本研究では,結果の再現性を改善し,判定者の主観的な影響を低減させることで,尿定性判定プログラムの判定精度を向上させることを目的とした.本研究に先立ち,われわれはPython による比色分析を用いて,尿定性判定プログラムを開発し,尿検査用試験紙の客観的な判定方法を報告している.本論文では,画像特徴点抽出処理と撮影環境の調整を行うことで,判定精度の向上を図った.画像特徴点抽出処理はAccelerated KAZEを使用した.撮影環境の調整は,尿検査用試験紙とカラーチャートを同時に撮影し,色温度やコントラスト,ガンマ値など,同じ設定のカメラで色の比較が行えるように調整した.正常値である陰性の判定は,すべての項目で尿自動分析装置の結果と一致した.異常値である陽性の結果は,潜血の項目以外はすべて一致した.画像特徴点抽出処理と撮影環境の調整を行うことで,プログラムの判定精度の向上が見られた.

【キーメッセージ】
1.今回の研究は看護・介護のどのような問題をテーマにしているのか?
 研究を行うきっかけとなったことはどのようなことか?
→個人によって色の判定が異なることがあるため,客観的な判定方法が必要と考えた.

2.この研究成果が看護・介護にどのように貢献できるのか?あるいは,将来的に貢献できることは何か?
→ 尿定性判定プログラムを活用することで,尿検査用試験紙を客観的に判定することができる.

3.今後どのような技術が必要になるのか?
→実際の尿検体による尿定性判定プログラムの信頼性の検証と臨床への応用方法の検討が必要である.
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