抄録
カフレス血圧計の計算式の検討は,血圧値を推定する精度を高めるために必要である.本研究ではカフレス血圧計の計算式の精度向上を目的として,公開データベースに登録されている脈波と血圧値を使用し,脈波を用いた血圧値の推定に用いられる特徴的な値のなかから,より精度よく血圧を推定できる値をパラメータに用いた最適式を作成した.また,この式を実装したパソコンと市販のパルスオキシメータとで構成される実験機がカフレス血圧計に要求される精度を満たすかを非侵襲血圧計規格の精度要件に従って実験により確かめた.20 歳台から50 歳台の被験者18 名による実験の結果,最適式を用いて実験機で計測した脈波から計算したカフレス血圧が要求精度を満たしたことから,式が汎用できることが示された.また,収縮期血圧と拡張期血圧のカフレス血圧計算式のパラメータに対してそれぞれ異なる値を用いることで血圧値を推定する精度を向上できる可能性を示した.
【キーメッセージ】
1.今回の研究は看護・介護のどのような問題をテーマにしているのか?
研究を行うきっかけとなったことはどのようなことか?
→生活習慣病の診断として,日常的に使われていて,特に身近な,血圧計測を見直すことを考えた.
2.この研究成果が看護・介護にどのように貢献できるのか?あるいは,将来的に貢献できることは何か?
→ カフが使えない人に対しても血圧を計測できる.
3.今後どのような技術が必要になるのか?
→回血圧を推定できる小型の計測装置の技術が必要である.