抄録
目的:本研究は,指尖容積脈波の動態変化を機械学習モデルに学習させ,人間の心理的ストレス状態を判別できるか検証することを目的とした.方法:健常者20名を対象に,5分間の安静時と10分間のColor Word Conflict Test 中の指尖容積脈波をサンプリング周波数1024 Hz で測定し,Elastic Net モデルに学習させ,安静時と心理的ストレス時の分類性能を評価した.結果:安静時と心理的ストレス時において,脈拍間隔変動係数,高周波成分,d/a,脈拍,脈拍間隔,エントロピー,収縮期血圧,拡張期血圧に有意な変化が見られた(p<0.05).Elastic Net モデルの分類性能は,適合率:0.93,再現率:0.70,F1 値:0.80,正解率:0.77,Area Under the Curve:0.78であった.結論:指尖容積脈波の機械学習により,生体の心理的ストレス状態を非侵襲的かつ客観的に評価できる可能性が示唆された.
【キーメッセージ】
1.今回の研究は看護・介護のどのような問題をテーマにしているのか?
研究を行うきっかけとなったことはどのようなことか?
→酸素飽和度の測定技術として活用されている指尖容積脈波のさらなる活用法の検討をテーマとした.
2.この研究成果が看護・介護にどのように貢献できるのか?あるいは,将来的に貢献できることは何か?
→ 簡易かつ非侵襲的な方法で心理的ストレスの有無を評価でき,将来的には個人の健康管理ツールとなることが期待される.
3.今後どのような技術が必要になるのか?
→さまざまな心理的ストレスによる指尖容積脈波の影響を明らかにする必要がある.