2023 年 11 巻 p. 37-46
目的:高齢者において,側頭部陥没の外観的評価から骨格筋量の損失の程度を評価できるか,その信頼性・妥当性を検証した.方法:対象者は65歳以上の高齢者73名であった.信頼性評価は,評価者2名が独立して側頭部陥没を外観から評価し,カッパ係数から評価者間信頼性を検証した.妥当性評価は,弁別妥当性として側頭部陥没の程度(なし,軽度,重度)による四肢の骨格筋量の差異を,既知集団妥当性として側頭部陥没の程度による側頭筋厚の差異を比較することで検証した.結果:評価者2名の側頭部陥没の外観的評価の一致は,カッパ係数0.594であった.側頭部陥没のない者とくらべ,軽度および重度の者で上腕筋囲長および下腿周囲長が有意に低かった.側頭部陥没が軽度またはない者とくらべ,重度の者で側頭筋厚が有意に薄かった.結論:側頭部陥没の外観評価について,中等度の評価者間信頼性,弁別妥当性と既知集団妥当性が確認された.
【キーメッセージ】
1.今回の研究は看護・介護のどのような問題をテーマにしているのか?
研究を行うきっかけとなったことはどのようなことか?
→側頭部の外観評価に基づく栄養評価法のエビデンスを構築したいと考えた.
2.この研究成果が看護・介護にどのように貢献できるのか?あるいは,将来的に貢献できることは何か?
→ 側頭部の外観評価により,ベッドサイドで簡便かつリアルタイムに栄養評価が可能となる.
3.今後どのような技術が必要になるのか?
→在宅現場で非侵襲的かつ簡便にリアルタイムで実施可能な栄養評価法が必要である.