看護理工学会誌
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速報
スキンブロットサンプル液相化法の妥当性評価
大貝 和裕長谷川 陽子加藤 克典瀧澤 理穂額 奈々今方 裕子大西 陽子松本 智里松本 勝臺 美佐子紺家 千津子峰松 健夫
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2024 年 12 巻 p. 10-16

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抄録
 スキンブロッティングは皮膚の局所サイトカインなどを非侵襲的に評価できる方法であるが,高度な免疫染色技術が必要であり,臨床応用がむずかしい.スキンブロットサンプルを液体の形で回収する液相化法は,簡易検査に応用できる可能性があるが,液相化法の妥当性を示す必要がある.本研究ではスキンブロットサンプル液相化法の妥当性評価のため,5種類のタンパク質を用いて(1)液相化タンパク質の回収率と(2)アプライしたタンパク質量と液相化によって回収されたタンパク質量の相関をそれぞれ評価した.その結果,(1)ウレアーゼの回収率が有意に低かった(P=0.046)ものの,(2)すべてのタンパク質で,アプライ量と液相化タンパク質量に有意に高い相関(0.90 ≤ r ≤ 0.98;P<0.05)が認められた.スキンブロットサンプル液相化法は,定量性の点で妥当と考えられた.

【キーメッセージ】
1.今回の研究は看護・介護のどのような問題をテーマにしているのか?
 研究を行うきっかけとなったことはどのようなことか?
→ 非侵襲的に全身状態を評価できる方法の1つであるスキンブロッティングは測定に実験室レベルの技術を要するため,より簡便な測定方法を開発する必要があった.

2.この研究成果が看護・介護にどのように貢献できるのか?あるいは,将来的に貢献できることは何か?
→ スキンブロットサンプルの液相化によって,イムノクロマトのような簡便な測定方法を活用できる可能性が示された.

3.今後どのような技術が必要になるのか?
→ 液相化の時間短縮,液相化サンプルの簡易測定装置の開発,それらの妥当性検証が必要となる.
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