看護理工学会誌
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原著
腰部有限要素モデルを用いた側臥位における体圧分散マットレスの力学的評価
星野 真実坂本 二郎茅原 崇徳
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2025 年 12 巻 p. 119-135

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抄録
 【目的】本研究では,deep tissue injuryも考慮した褥瘡予防により効果的なマットレス開発のため,腰部有限要素モデルを作成し,2種類の体圧分散マットレスを対象として側臥位における力学的評価を行った.【方法】人体腰部と体圧分散マットレス2種の有限要素モデルを作成し,圧切替機能も含めた側臥位になった場合のシミュレーション評価を行った.また実測値と比較し妥当性の検証を行った.【結果・結論】妥当性を評価するために実測値と接触圧力と沈み込み量を比較した結果,解析から得られた身体とエアマットレスとの接触圧や変形の程度はおおむね一致しており,構築した解析モデルとその解析方法はマットレス評価において有効なものであると考えられた.マットレスの形状や変形能の大きさは身体内部の褥瘡発生リスクにはあまり影響を与えないことが示唆された.圧切替機能を考慮した解析を行った結果,身体内部の応力低減にも圧切替が有効であることが確認できた.

【キーメッセージ】
1.今回の研究は看護・介護のどのような問題をテーマにしているのか?
 研究を行うきっかけとなったことはどのようなことか?
→ deep tissue injury(以下DTI)は身体内部から発生・進行する褥瘡であり,肉眼的には評価がむずかしい.本研究では,有限要素法を用いてエアマットレスに側臥位で臥床したときの身体内部の力学的評価を行った.

2.この研究成果が看護・介護にどのように貢献できるのか?あるいは,将来的に貢献できることは何か?
→ 本研究では,実験では非侵襲的に計測できない,身体内部の力学的状態をシミュレーションで評価した.本研究で作成したモデルを使用することで,DTIにも有効なマットレス開発に貢献できる可能性がある.

3.今後どのような技術が必要になるのか?
→ 本モデルは腰部のみのモデルであるため,全身のモデルが作成できれば,より正確な身体内部の評価を行うことができると考えられる.
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