抄録
目的:腹直筋収縮を評価可能な経腹超音波画像上の特徴点を自動計測する方法を開発した.方法:女性33名から腹直筋収縮時の経腹超音波画像を取得し,15指標候補について,明確に識別しやすい画像数の割合を算出した.高い割合で描出された指標候補の特徴点について,腹直筋収縮時の移動距離を手動で計測するとともに,開発した特徴点の追跡ソフトウェアで計測した.また,画像撮影者が主観的に収縮の強弱を分類した.結果:指標候補から定まった特徴点は3点で,膀胱底部と膀胱頭側の交点,膣内腔上にある子宮頸部から膀胱頸部の中点,直腸前壁上にある膀胱頸部から頭側に2cm の点であった.それらの移動距離は主観的に収縮が弱い場合にくらべて強い場合は有意に大きかった.手動自動計測値に対する開発した自動追跡システムの計測値の回帰係数は0.88-1.17 であった.結論:経腹超音波画像上で腹直筋収縮を自動評価可能なシステムが開発できた.
【キーメッセージ】
1.今回の研究は看護・介護のどのような問題をテーマにしているのか?
研究を行うきっかけとなったことはどのようなことか?
→ 女性が骨盤底筋の収縮をしたときの代償収縮の評価が,指導者の主観に依存していること.
2.この研究成果が看護・介護にどのように貢献できるのか?あるいは,将来的に貢献できることは何か?
→ 客観的・定量的に,女性の経腹超音波画像上において,代償収縮の程度を自動に計測できるようになる.術者の経験に依存せず,骨盤底筋収縮時の代償収縮について正確な評価が可能となる.骨盤底リハビリテーションのトレーニング効果のモニタリングなどへ応用できる.
3.今後どのような技術が必要になるのか?
→ 骨盤底筋機能の総合的な評価には,本研究で開発した代償収縮に加えて,収縮の強度や持続時間,反復などを同時に評価できる技術の開発が必要である.