抄録
本研究の目的は,分娩第2期の児頭娩出時における熟練助産師と助産学生の視線を比較し,その特徴を明らかにすることである.熟練助産師5名,助産学生4名を対象に,分娩シミュレーションを用いた視線計測を実施し,児頭と産婦の顔への注視時間と注視回数を分析した.結果,熟練助産師は陣痛発作時の児頭への注視時間が,助産学生にくらべて有意に長く(
p=0.0015),間歇時には産婦の顔への注視が増加する傾向がみられた.一方,助産学生は発作時と間歇時の視線配分に明確な差がなかった.また,熟練助産師は視線の移動が少なく,特定の場所への注視を持続する傾向がみられた.これらの結果から,熟練助産師は分娩進行に応じた適切な視線配分を行い,児頭の娩出を的確に判断していることが示唆された.本研究は,視線データを活用した助産師教育の可能性を示すものである.
【キーメッセージ】
1.今回の研究は看護・介護のどのような問題をテーマにしているのか?
研究を行うきっかけとなったことはどのようなことか?
→分娩介助技術は主観的評価が多いため,客観的評価法の確立を目指し視線計測に着目した.
2.この研究成果が看護・介護にどのように貢献できるのか?あるいは,将来的に貢献できることは何か?
→本研究は分娩介助技術を客観的に評価し,学習支援を通じ助産教育の質的向上に貢献する.
3.今後どのような技術が必要になるのか?
→熟練者の視線を教材化し,触覚や聴覚を含む多感覚統合型の教育支援技術の開発が必要となる.