看護理工学会誌
Online ISSN : 2432-6283
Print ISSN : 2188-4323
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原著
分娩介助シミュレータを用いた分娩介助中の児頭娩出時の児頭の角度分析
-熟練者および初学者との比較-
小関 秋花寺澤 瑛利子岡山 久代
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キーワード: シミュレータ, 児頭, 屈曲, 分娩
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2026 年 13 巻 p. 98-107

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抄録
 本研究の目的は分娩介助シミュレータを用いた分娩介助中に撮影した児頭娩出時の映像データによる画像分析から,熟練者と初学者の児頭の角度を比較することとした.参加者は熟練助産師10 名と,助産学生および新人助産師からなる初学者8名であった.分娩介助は条件を統一して分娩台の側方から撮影し,分娩開始から終了まで1秒ごとに静止画像を抽出した.胎児頭部の屈曲角度は分娩介助シミュレータ側面の平行線と固定ねじ,胎児モデルの前頭部が成す角とした.角度はImageJ(NIH)で計測した.時間正規化角度波形の線形混合効果モデルでは全体的な軌跡に有意な群間差はなかったが,初学者は熟練者よりも有意に最大屈曲角度が大きいことが明らかになった(p=0.016).これらの結果は,角度に基づく可視化が熟練度に関連した違いを捉えられることを示しており,分娩介助における客観的な教育ツールの開発に寄与する可能性がある.

 

【キーメッセージ】

1.今回の研究は看護・介護のどのような問題をテーマにしているのか?

 研究を行うきっかけとなったことはどのようなことか?

→ 助産教育および臨床経験から,会陰保護は重要であるが手技が経験則に依存し,児頭屈位保持や調整のタイミングを客観的に評価・共有しにくいと感じたこと.

2.この研究成果が看護・介護にどのように貢献できるのか?あるいは,将来的に貢献できることは何か?

→ 児頭屈曲角度を用いて会陰保護手技の特徴を定量化することで,熟練者と初学者の違いを可視化し,分娩介助技術の教育や評価の標準化に貢献できると考える.

3.今後どのような技術が必要になるのか?

→ 今回の研究は画像による分析であったが,今後は加速度センサ等を用いて児頭角度を連続的かつ高精度に計測でき る技術の開発が必要だと考える.

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