抄録
社会的日常生活の情報通信において,その根幹の一部をなすものと期待されてきた“光の道”として知られる光通信システムがあるが,院外の通信環境整備のみならず,院内における医用理工学的知見の応用の基礎におくという“医療版光の道”構想はいまだ具体化されていない.本構想は絶対数が不足している医師・看護師数を短期間で増加させるべくICT技術の導入と(半)自動化により効率化を図るシステムであり,通信の時刻同期性や遅延制御の実現,スケーラビリティや帯域幅保証の実現,混在するさまざまな通信エラー回復手法の実現により,院内医療・看護業務,ないしは地域全体との医療ネットワークの効率化に直結するものと期待される.このシステムを支援するものの例としてイヤホン型生体情報モニターや音声自動認識システムなどをあげ,このような構想の医工連携・看護理工領域(看工連携)における意義と,それを達成するための具体的道筋への提言を試みる.