看護理工学会誌
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論説
宅内見守りセンサによる高齢者フレイル検知の試み
森 武俊向後 麻亜子
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2017 年 4 巻 1 号 p. 2-14

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抄録
 フレイルは「筋力や心身の活力が低下した状態」と提唱され,高齢者の多くがフレイルという健康と病気の中間期のような段階を経て徐々に要介護状態へ移行するとされている.フレイルは老いに起因する要介護段階前の虚弱化のプロセスで初期段階で予防や治療を行えば回復できる可能性があるにもかかわらず,知らずに放置しておくことで脆弱性が増し健康障害に陥り要介護や死にいたる危険な状態ともいえる.本論では,フレイルティの予防に関する提案として,宅内に設置されたセンサから得られる日常のモニタリングデータに基づき健康状態の変化やその予兆をとらえることを考える.宅内センサ設置期間中の高齢者のふだんの暮らしに関するデータと定期通院時の認知機能・運動機能のテストのスコアなどを対照し,フレイルティ予防につながる指標を検討した.結果,認知機能指標のMMSE,運動機能指標の開眼片足立ちテストなどとセンサで計測される活動量の相関がみられた.居宅における活動量が減少した場合に,認知機能や脚バランス運動機能の低下の検知や予兆検知を行える可能性があることが示された.
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© 2017 看護理工学会
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