抄録
本研究は,産後の女性に対し,骨盤底筋群の随意収縮時に膀胱頸部の挙上が明確に確認できる磁気共鳴画像により作成した動画(MR 動画)を用いた骨盤底筋体操の効果を検証することを目的とした.経腟分娩後3〜6ヵ月の女性74名を,介入しない観察群,パンフレットで骨盤底筋体操を指導した従来体操群,MR 動画で骨盤底筋体操を指導したMR動画群の3群に無作為に振り分け,従来体操群とMR 動画群には研究者が指導後,12週間在宅で骨盤底筋体操を実施するよう依頼した.介入前後に体外式バイオフィードバック装置を用いて骨盤底筋群の最大収縮力および収縮持続時間を測定し比較した.結果,いずれの群も12週間後に骨盤底筋群の最大収縮力および収縮持続時間は有意に上昇したが,MR 動画群の最大収縮力は,観察群および従来体操群にくらべて有意に強かった(いずれもP<0.001).これにより,骨盤底筋訓練の指導におけるMR 動画の有用性が示唆された.