抄録
近年,看護師の臨床判断能力や医療安全に関する研究に看護師の視覚情報が用いられているが,分析に必要な時間と費用が莫大であると推察される.本研究は,Mask R-CNNを用いて看護師の視野にある対象物の自動検出が可能であるか,視野解析に必要な労力と時間が軽減できるかを明らかにすることを目的とした.看護師6名の観察場面を録画した動画から,検出対象物である「輸液」789 枚と「カテーテルハブ」1,136枚の静止画像を抽出しMask R-CNN の学習に用いた.それぞれの物体の検出能力は,「輸液」は検出感度が90.1%,画像1枚あたりの偽陽性数が0.109 個,物体認識精度を表すDice index が0.765,「カテーテルハブ」は,それぞれ50.8%,0.308 個,0.205 であった.また,2名分の画像をMask R-CNN を用いることで注視点指定作業が短縮できるか確認したところ,18.7%作業時間が短縮できた.今後,Mask R-CNNへの学習方法の検討およびデータ量を増やし検出精度の向上をめざすことが課題である.
【キーメッセージ】
1.今回の研究は看護・介護のどのような問題をテーマにしているのか?
研究を行うきっかけとなったことはどのようなことか?
→ 看護師の臨床判断能力を効率的に評価するためにAIによる物体検出モデルを開発した.
2.この研究成果が看護・介護にどのように貢献できるのか?あるいは,将来的に貢献できることは何か?
→ 物体の自動検出によりデータ解析作業の労力が低減し,看護学研究の促進に貢献できる.
3.今後どのような技術が必要になるのか?
→ 検出カテゴリーや学習データ数を増やし,検出率を向上させることが必要である.