看護理工学会誌
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速報
心拍変動のリアプノフ指数と血圧および自律神経指標との関係
浅野 美礼
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2021 年 9 巻 p. 9-20

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抄録
 30歳未満の健康な若年者と65 歳以上の健康な高齢者に安静状態から起立してもらい,そのときの心電図と血圧を1 kHzで測定した.心電図R-R 間隔(RRI)をリサンプリングした関数よりリアプノフ指数を計算し,またアトラクターを描画して心拍変動の特徴の把握を試みた.その結果,リアプノフ指数については若年者より高齢者のほうが低かった.また,両方の年齢層で,RRI と血圧が低下するとリアプノフ指数が低下した.ただし,リアプノフ指数はRRI,血圧,既知の自律神経指標のいずれとも有意な相関がみられなかった.描画されたアトラクターについては,単純な三項間漸化式で記述される線形モデルを設定し,心拍変動の揺らぎが自己の直近2点の履歴によって決まるものと解釈した.心拍変動から得られるリアプノフ指数は,血圧や自律神経活動とは独立した,遠隔看護にも活用可能な循環動態の指標になりうると考えられた.

【キーメッセージ】
1.今回の研究は看護・介護のどのような問題をテーマにしているのか?
  研究を行うきっかけとなったことはどのようなことか?
→短時間の心拍変動のモニタリングから有用な指標が得られないかと考えて発想した.

2.この研究成果が看護・介護にどのように貢献できるのか?あるいは,将来的に貢献できることは何か?
→心電図モニタリングから刻々と変化する循環動態やストレスの変調をとらえられるようになると期待している.

3.今後どのような技術が必要になるのか?
→ウェアラブルデバイスでの活用に向け,脈波からR-R 間隔を精密に推定できる技術が必要である.
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