1999 年 5 巻 2 号 p. 169-197
高レベル放射性廃棄物の地層処分に際する性能評価・安全評価のためには,放射性核種がガラス固化体から溶出し,人間が被ばくするまでの経路において,想定される種々のシナリオを網羅し,それぞれに対して被ばく線量を計算する必要がある.FEP,PIDを用いて地下水シナリオを中心として検討した結果,地下水シナリオは基本シナリオと変動シナリオに大別され,さらに変動シナリオは隆起・侵食シナリオ,沈降シナリオ,間氷期継続シナリオ,氷期継続シナリオ,地温勾配大シナリオに分類された.それぞれのシナリオに基づき,堆積岩地域と花崗岩地域を対象として性能評価・安全評価を行った結果,堆積岩地域の方が間隙率が大きく,また分配係数も大きな値であったため,相対的に堆積岩地域で被ばく線量値が小さくなること,変動シナリオの中で隆起・侵食シナリオが最も高い線量値を示すことが明らかになった.