2024 年 16 巻 2 号 p. 30-37
本研究では,有機農業を主とした農外からの参入企業の実態をもとに,参入企業が本業の経営資源を活用することで,栽培技術の習得や販売先確保等の有機農業参入時の課題へ対応することができるかについて検討する.調査対象として,農外からの企業参入事例でありながら,1億円超の販売高と黒字化を実現するなど持続的な経営発展を遂げている株式会社Bを選定した.調査分析の結果,本業の経営資源であるヒト・カネ・情報に加えて地域との連携関係が,栽培技術の習得や差別化販売が可能な販売先の確保など,有機農業参入プロセスにおける各課題への対応において有効に活用されていた.一方,親会社から多様な経営資源を受けて事業展開が可能な参入企業であっても,有機農業を事業として定着するには,地域としての栽培,販売体制の整備が必要となる可能性について言及を行った.