くずコムギ種子をリビングマルチに利用することで,安価で抑草効果が非常に高く,野菜の生育もよく,多くの作物にリビングマルチを増やしていった.小麦の抑草効果は非常に高く,収量も 1 ~ 2 割増収した.圃場内に一部小麦を播種しない裸地区(ナス・ピーマン・オクラ,定植(5/10~ 5/15),収穫(7 月初旬))を作り生育経過を観察したところ,ピーマンは 7 月初旬収穫時では,小麦区は草丈が 20cm 程度低く,葉色もうすく推移したが,8 月下旬頃から双方の草丈の差はほとんどなくなり,最終的には小麦区で多収を示した.この結果から小麦の多量播種は一時的に大きな肥料競合をきたし,作物の生育に影響を与えるが,その後小麦が枯死し,8 月初旬から肥料の放出が始まり,徐々に土壌構造の改善等の効果があったと考えられる.これらの経験を踏まえて,リビングマルチを有機農業に活用するための留意点を指摘した.