抄録
手洗いは院内感染予防において,最も基本的な看護技術の一つであり,米国疾病予防管理センター(CDC)が2002年に発表した「医療現場における手指衛生ガイドライン」にも,その詳細が記載されている.そのため,医療従事者である看護師の手洗いは高頻度であり,手洗い頻度の増加に伴い手湿疹(以下手荒れ)が問題となっている.また手荒れは,皮膚細菌叢を変化させ,黄色ブドウ球菌などの病原菌を常在化させやすくするとも報告されており,手荒れ防止のためのハンドケアは医療従事者のQOLを高めるだけでなく,院内感染コントロールの観点からも重要であると考えられる.そこで静岡県立静岡がんセンターと公益財団法人静岡県産業振興財団(ファルマバレーセンター)とサンスター株式会社で共同開発した,セラミド2,セラミド5配合のプロズチョイス®ハンドクリームについて,看護師と同程度の手荒れを有する一般被験者に対し,手荒れ改善効果,保湿性および安全性を評価し,市販品と比較した.その結果,プロズチョイス®ハンドクリーム,市販品ともに,手荒れ改善効果について使用開始より4週で90%(27人/30人)の被験者に有用性がみとめられた.また保湿性と安全性についても同等であった.使用感に関して,継続使用希望については同等であったが,使い心地を示す項目については,市販品よりもプロズチョイス®ハンドクリームの方が有意にスコアが高かった.
以上の結果から,プロズチョイス®ハンドクリームは市販品と同程度の手荒れ改善効果,保湿性,安全性を有しながら,使用感では市販品よりも受容性が高いことが示唆された.これらより,プロズチョイス®ハンドクリームは看護師をはじめとする手荒れリスクの高いターゲット層のハンドケアにおいて,有用であると考えられる.