抄録
症例1:37歳女.妊娠中に両側乳頭部の丘疹と結節.症例2:30歳女.両側乳頭部の無症候性の褐色変化や肥厚.2例とも臨床所見と病理組織学的所見よりnevoid型の hyperkeratosis of nipple and areolaと診断した.Nevoid型のhyperkeratosis of nipple and areolaは,妊娠可能な年齢の女性に多くみられる乳頭や乳輪部の乳頭腫症や過角化を特徴とする比較的稀な疾患である.しかし病因は明確では無く,治療法も確立されていない.1923年にTauberによって報告されたが,その後1938年にFranckelがhyperkeratosis of nipple and areola(以下HNA)として3型に分類した.今回,我々はその2例を経験したので報告し,臨床症状,組織病理学的特徴,鑑別診断について述べる.