伝染性軟属腫(molluscum contagiosum:MC)は小児に好発するポックスウイルス感染症で,多くは自然軽快する良性疾患であるが,日常診療では摘除介入の是非や疼痛対策,経過観察の位置づけについて必ずしも一定した見解がない.本研究ではMC診療経験を有する皮膚科医および小児科医を対象にWebアンケート調査を実施し,診療方針,治療内容,疼痛対策,治療評価および治療ニーズを診療科別に比較検討した.回答220名(皮膚科165名,小児科55名)を解析した.月間MC診療患者数は皮膚科で平均22.6名,小児科で8.2名であり,初診時病変数は小児科では10個未満が多い一方,皮膚科では多発例の割合が相対的に高かった.診療方針では,皮膚科で摘除を含む方針が76.4%と多数を占め,実施治療も摘除中心(物理的摘除47.9%,摘除+他治療16.2%)であった.これに対し小児科では非摘除治療・経過観察(63.6%)や他院紹介(14.5%)が多く,診療科間で方針差がみられた.治療する理由として皮膚科では「感染するから」が最多であり,小児科では「保護者の希望」が最多であった.治療しない理由としては,皮膚科では「治療に伴う痛みや患者負担」,小児科では「自然治癒する/経過観察が妥当」が最多であった.摘除時の疼痛対策では皮膚科で局所麻酔テープの使用が高率であったが,小児科では鎮痛を実施しない割合が比較的高かった.現行治療の満足度は必ずしも高いとはいえず,理想の治療条件として両科とも「痛みがない」「手技が簡単」が上位であった.保険適用の外用薬は皮膚科78.2%,小児科70.9%が必要と回答した.以上より,MCは良性疾患と認識されつつも,感染拡大への懸念や保護者・学校等の要請が介入の背景にあり,低疼痛で簡便な治療へのニーズが示唆された.一方,新たな治療選択肢の臨床的有用性については今後の臨床研究による検証が必要である.
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