日本臨床皮膚科医会雑誌
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論文
  • ~第Ⅲ相臨床試験 事後解析~
    五十嵐 敦之, 北島 裕之
    2026 年43 巻4 号 p. 528-534
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/10/09
    ジャーナル フリー
    背景:日本人尋常性乾癬患者における治療用芳香族炭化水素受容体調節薬タピナロフクリーム(本クリーム)の寛解維持効果を示した報告はない. 目的:本クリームの日本人尋常性乾癬患者におけるPhysician’s Global Assessment(PGA) = 0達成後の寛解維持効果について検討した. 方法:軽症から重症の日本人尋常性乾癬患者を対象とした第Ⅲ相長期投与試験において,PGA = 0を達成した116例の患者を解析対象とした事後解析を行った.評価項目は「PGA ≦ 1維持期間」,「PGA ≦ 1維持期間別の患者背景」,「PGA = 0達成後の薬剤塗布休止症例のPGA = 0維持期間」とした. 結果:PGA = 0となった時点からPGA ≦ 1の維持期間の中央値は156.5 日であり,平均値は145.9 日であった.PGA ≦ 1の維持期間の中央値(156.5 日)で分けた患者背景に両群に大きな違いはなかった. 「PGA = 0達成後薬剤塗布休止群」のPGA = 0維持期間の中央値は61.0 日,平均値は83.4 日であった. 結論:日本人尋常性乾癬患者を対象とした治験事後解析により,本クリームは尋常性乾癬の寛解維持効果が期待できる薬剤であることが示された.
  • 皮膚科医・小児科医を対象とした調査
    渡辺 大輔, 島宮 麻紀子, 北島 裕之
    2026 年43 巻4 号 p. 535-543
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/10/09
    ジャーナル フリー
    伝染性軟属腫(molluscum contagiosum:MC)は小児に好発するポックスウイルス感染症で,多くは自然軽快する良性疾患であるが,日常診療では摘除介入の是非や疼痛対策,経過観察の位置づけについて必ずしも一定した見解がない.本研究ではMC診療経験を有する皮膚科医および小児科医を対象にWebアンケート調査を実施し,診療方針,治療内容,疼痛対策,治療評価および治療ニーズを診療科別に比較検討した.回答220名(皮膚科165名,小児科55名)を解析した.月間MC診療患者数は皮膚科で平均22.6名,小児科で8.2名であり,初診時病変数は小児科では10個未満が多い一方,皮膚科では多発例の割合が相対的に高かった.診療方針では,皮膚科で摘除を含む方針が76.4%と多数を占め,実施治療も摘除中心(物理的摘除47.9%,摘除+他治療16.2%)であった.これに対し小児科では非摘除治療・経過観察(63.6%)や他院紹介(14.5%)が多く,診療科間で方針差がみられた.治療する理由として皮膚科では「感染するから」が最多であり,小児科では「保護者の希望」が最多であった.治療しない理由としては,皮膚科では「治療に伴う痛みや患者負担」,小児科では「自然治癒する/経過観察が妥当」が最多であった.摘除時の疼痛対策では皮膚科で局所麻酔テープの使用が高率であったが,小児科では鎮痛を実施しない割合が比較的高かった.現行治療の満足度は必ずしも高いとはいえず,理想の治療条件として両科とも「痛みがない」「手技が簡単」が上位であった.保険適用の外用薬は皮膚科78.2%,小児科70.9%が必要と回答した.以上より,MCは良性疾患と認識されつつも,感染拡大への懸念や保護者・学校等の要請が介入の背景にあり,低疼痛で簡便な治療へのニーズが示唆された.一方,新たな治療選択肢の臨床的有用性については今後の臨床研究による検証が必要である.
  • 村田 智孝, 池田 信昭, 堀内 義仁
    2026 年43 巻4 号 p. 544-547
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/10/09
    ジャーナル フリー
     カバキコマチグモ(Chiracanthium japonicum)による刺咬症を経験した.カバキコマチグモは強毒を持ち,咬まれると,咬み口とその周辺に強い痛みとしびれを引き起こし,症状の軽快までに長時間を要するため十分な治療が必要である.今回我々は,鎮痛薬内服で抑えきれなかった疼痛に対して,リドカインによる指ブロック麻酔を行ったところ,速やかに疼痛が消失し,麻酔が切れたあとの疼痛も自制内に軽減した.本症に対しての指ブロック麻酔は,まず試されるべき治療である.
  • 佐藤 詩穂里, 青笹 尚彦, 中村 晃一郎, 常深 祐一郎
    2026 年43 巻4 号 p. 548-554
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/10/09
    ジャーナル フリー
    症例1:56歳,女性.口唇や鼡径部,足趾に紅斑やびらんが出現し,拡大して扁平に隆起する褐色局面となった.症例2:36歳,女性.臍部に紅斑が出現し,その後,口唇周囲と外陰部に水疱やびらんが出現し,灰白色隆起性局面となった.いずれも病理組織では好酸球が主体の表皮内膿疱があり,基底層直上の裂隙と棘融解がみられた.蛍光抗体直接法では表皮細胞間にIgGの沈着がみられ,蛍光抗体間接法で抗表皮細胞間IgG抗体が検出された.また血清中の抗デスモグレイン(Dsg)1抗体や抗Dsg3抗体価が上昇していた.増殖性天疱瘡と診断し,プレドニゾロン1 mg/kg/dayを開始し,皮疹は速やかに改善した.腋窩や鼡径,外陰部などの間擦部や口腔内などの水疱や膿疱で始まり,次第に増殖して隆起する特徴的な皮疹では,増殖性天疱瘡を想起し,病理組織検査と同時に蛍光抗体直接法及び間接法と血清中の抗体の検索を行うべきである.
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