75歳,女性.発症時期不明の左下腿の紅色調の皮疹が1か月前から急速に増大し,漸次周囲および左大腿に同様の皮疹が出現し,増加してきた.初診時,左下肢全体が浮腫を呈しており,多数の大小不同の赤色の扁平~ドーム状隆起する結節,腫瘤を認め,最大のものでは直径70 mmで潰瘍化しており,易出血性で疼痛と悪臭を伴っていた.CTでは多発リンパ節転移,肺転移を認めた.病理組織では,低分化な腫瘍細胞が一部表皮と連続性に浸潤性に増殖していた.免疫組織化学では,AE1/AE3とvimentinが陽性であり,血中CA125が軽度ながら高値を示したため,類上皮肉腫を疑ったが,p40が陽性,INI-1が腫瘍細胞の核に陽性,CA125が陰性であることより,最終的に低分化型の有棘細胞癌(squamous cell carcinoma,以下SCC)と診断した.分化度が低いSCCは,臨床的に他疾患と鑑別が困難なことがあるが,ときに全身転移,さらには局所多発転移にまで至ることもあるため,的確な病理診断が求められる.高齢化が急速に進むわが国においては,免疫低下も相まって,皮膚癌が進行した状態で受診する例がある.皮膚癌の早期発見と治療介入に繋げるためにも,進行症例の存在は皮膚科医として認識しておく必要がある.
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