日本臨床皮膚科医会雑誌
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論文
  • 大谷地 慶太, 深田 義仁, 中園 学, 小林 尚史, 山崎 一人, 佐藤 友隆
    2025 年42 巻5 号 p. 668-672
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/21
    ジャーナル フリー
    症例は73歳男.20年前まで井戸水で飲水,入浴していた.右小指に紅斑が出現.他院にてベタメタゾン吉草酸エステル軟膏を処方され外用したが改善なく,10か月後当科を受診した.初診時右小指に17×13 mmの紅斑を認めた.皮膚生検で表皮に全層性に異型細胞を認め,Bowen病と診断した.その後局所麻酔下に4 mmマージンで全摘および全層植皮術を施行し局所再発はない.しかし5年後,右前腕,左下腿に紅斑が出現し,他院で湿疹としてステロイドを外用したが改善に乏しく,再度紹介受診となった.生検でBowen病の診断となり,どちらも局所麻酔下に3 mmマージンで全摘し,人工真皮を貼付した.病理では左下腿は一部真皮まで浸潤し,Bowen癌と診断した.その後右前腕は瘢痕治癒し,左下腿は右鼠径部より全層植皮し,再発は認めていない.病理所見からHPV感染を疑い3病変の標本からハイリスクHPV特異的 PCR法を実施したところ,小指はHPV16,58を検出し,右前腕,左下腿はHPV58の増幅を検出した.またHPV DNA L1 regionの増幅産物の塩基配列を決定し,HPV16,58の塩基配列と相同であることをBLAST(basic local alignment search tool)で確認した.自験例では井戸水による砒素暴露とHPV58感染が重なったことでBowen病が多発したと考えた.
  • 木村 温子, 原田 研, 赤坂 英二郎
    2025 年42 巻5 号 p. 673-677
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/21
    ジャーナル フリー
     75歳,女性.発症時期不明の左下腿の紅色調の皮疹が1か月前から急速に増大し,漸次周囲および左大腿に同様の皮疹が出現し,増加してきた.初診時,左下肢全体が浮腫を呈しており,多数の大小不同の赤色の扁平~ドーム状隆起する結節,腫瘤を認め,最大のものでは直径70 mmで潰瘍化しており,易出血性で疼痛と悪臭を伴っていた.CTでは多発リンパ節転移,肺転移を認めた.病理組織では,低分化な腫瘍細胞が一部表皮と連続性に浸潤性に増殖していた.免疫組織化学では,AE1/AE3とvimentinが陽性であり,血中CA125が軽度ながら高値を示したため,類上皮肉腫を疑ったが,p40が陽性,INI-1が腫瘍細胞の核に陽性,CA125が陰性であることより,最終的に低分化型の有棘細胞癌(squamous cell carcinoma,以下SCC)と診断した.分化度が低いSCCは,臨床的に他疾患と鑑別が困難なことがあるが,ときに全身転移,さらには局所多発転移にまで至ることもあるため,的確な病理診断が求められる.高齢化が急速に進むわが国においては,免疫低下も相まって,皮膚癌が進行した状態で受診する例がある.皮膚癌の早期発見と治療介入に繋げるためにも,進行症例の存在は皮膚科医として認識しておく必要がある.
  • 佐藤 詩穂里, 柳澤 宏人, 中村 晃一郎, 常深 祐一郎
    2025 年42 巻5 号 p. 678-683
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/12/21
    ジャーナル フリー
     40歳,男性.初診の20年前に他院で慢性膿皮症の診断を受け,抗菌薬投与を受けていた.両臀部から両大腿後面の出血,排膿,疼痛を主訴に受診した.初診時,両臀部から大腿後面にかけて排膿を伴う瘻孔が多数あり,広範囲で硬結を触知した.化膿性汗腺炎と診断し,根治を目的とした広範囲な切除と植皮を行った.広範囲の病理組織で瘻孔部に核異型があり細胞質が豊富な好酸性の有棘細胞が増殖しており,有棘細胞癌と診断した.放射線療法と化学療法を行ったが,15ヶ月後,死亡した.臀部化膿性汗腺炎は根治術を行わず対症療法で経過観察されることもあるが,慢性炎症に伴って瘻孔内に有棘細胞癌が発症する可能性もあるものの臨床的に癌化を早期に疑うことは困難であるため,重症例では積極的に切除することが重要である.
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