日本臨床皮膚科医会雑誌
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論文
尋常性乾癬治療に対するカルシポトリオール水和物/ベタメタゾンジプロピオン酸エステル配合外用薬による外用療法の治療実態調査
伊藤 寿啓安部 正敏島田 辰彦菅井 順東山 真里根本 治
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2017 年 34 巻 5 号 p. 555-563

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抄録
目的:尋常性乾癬の治療にカルシポトリオール水和物/ベタメタゾンジプロピオン酸エステル配合外用薬(以下Cal/BDP配合外用薬)が登場したことにより生じた治療実態の変化を把握する.
方法:調査協力に同意を得られた全国の皮膚科において,尋常性乾癬患者で調査参加に同意を得られた患者を対象に,3ヵ月間のアンケート調査を実施した.そのうち更に調査協力を得られた医師及び患者を対象に1年後調査を実施した.
結果:尋常性乾癬患者658例より調査協力が得られた.Cal/BDP配合外用薬の1日1回塗布によりm-PASIスコアは,1ヵ月後には調査開始時から有意に減少し,1年後も有意な減少が維持された.乾癬特異的QOL評価尺度のPDIスコアも1ヵ月後には調査開始時より有意に減少し,1年後も有意な減少が維持された.また,患者の87.9%が1年後もCal/BDP配合外用薬の治療継続を希望した.上肢・体幹・下肢の病変91.4%において調査開始時よりCal/BDP配合外用薬が継続され,病変の85.0%が他の外用療法からCal/BDP配合外用薬へ切替えられた.副作用は調査開始から3ヵ月後までに15例(2.7%)に認められたが,1年後時点では副作用は認められなかった.
結論:Cal/BDP配合外用薬が1日1回塗布で速やかに皮膚症状及び患者QOLを改善し,1年後も優れた効果を維持し安全性の問題は認められなかった.Cal/BDP配合外用薬を1年間塗布した患者のアンケートから,約90%で同治療への選好が示された.一方で,経時的にアドヒアランスの低下が認められることから,外用療法指導の重要性が再確認された.
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