抄録
目的:尋常性乾癬の頭部病変に対する外用療法に新たな選択肢が増えた中,その治療実態および治療効果や患者満足度を明らかにする.
方法:尋常性乾癬頭部病変の治療において,調査開始時より前3カ月の間に外用薬を切り替えもしくは新しく外用薬を使い始めた調査対象患者と担当医師に,前向き観察研究として多施設共同アンケート調査を実施した.頭部病変に対して外用療法を3カ月実施し,医師調査票では治療効果(PSSIなど)や処方内容など,患者アンケート調査では治療満足度(TSQM-9)などを1カ月毎に調査し,3カ月後には切り替え前の外用薬と比較した選好性(PPQ)を調査した.
結果:頭部病変を有する尋常性乾癬患者766例が登録され,治療実態を737例で検討した.外用療法と全身療法(内服療法,光線療法,生物学的製剤)の併用は297例(40.3%)であり,有効性解析対象である外用療法単独は440例(59.7%)であった.いずれにおいてもゲルが約7割と最多で,次いでステロイドローションとシャンプーが多かった.本調査期間を通じて,登録された尋常性乾癬の頭部病変の重症度は経時的に改善が認められた.外用薬単独の治療効果をみると,ゲルおよびシャンプー治療においてPSSIおよびIGAの統計学的有意な改善が認められた.また,いずれの外用薬からゲルへ切り替えても,PSSIは改善を示し,TSQM-9も向上し,約8割の患者が切り替え前の外用薬よりゲルに選好性を示した.
結論:尋常性乾癬頭部病変の治療において,実臨床では,被髪頭部の塗布に適したゲルなどの剤形が主に選択され,新しい剤形であるゲルやシャンプーの医師評価・患者評価はともに高かった.唯一前外用薬別の統計解析が可能であったゲルでは,いずれの外用薬からゲルに切り替えても治療効果や治療満足度が向上した.