日本臨床皮膚科医会雑誌
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論文
慢性特発性蕁麻疹に対するオマリズマブ投与患者105例の検討
伊藤 友章大久保 ゆかり原田 和俊
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2021 年 38 巻 6 号 p. 892-897

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抄録
オマリズマブ(ゾレア®)は,2017年に慢性特発性蕁麻疹の治療薬として,追加適応された.さらに2018年に発表された国際ガイドラインと整合性をとりながら,日本皮膚科学会の蕁麻疹ガイドラインには,オマリズマブ使用手順が詳細に記載されている.しかし,本邦ではオマリズマブの慢性特発性蕁麻疹に対する効果をまとめた報告がない.  2017年6月~2021年3月まで,東京医科大学病院で慢性特発性蕁麻疹に対して,オマリズマブ 300 mg/month を投与した105例を検討した.男性23例,女性82例,平均年齢は45.4±16.0歳.罹病期間は,46.9±99.4ヵ月であった.治療開始後3カ月間 Uriticaria Control Test 16点の63例で,オマリズマブ治療を中止した.その結果,平均投与終了回数は6.4±4.1回であった.再発例は9例であった.9例中7例は,オマリズマブ投与6回以内で中止していた. 再発例の多くは,オマリズマブ再投与で改善し,再度中止できた症例は5例であった.  オマリズマブは,ステロイド・シクロスポリンに比べて副作用が少ない.2018年に使用可能施設基準が改定され,“アレルギー専門医または皮膚科専門医が,当該施設で,あるいは近隣医療機関と連携して,喘息,アナフィラキシー等の有害事象に対応できる体制のもとで使用すること”となり,皮膚科のクリニックでも使用可能となっている.本剤は,重症な慢性特発性蕁麻疹治療に有効な治療薬であり,さらに多数の皮膚科医によって投与されることが期待される.
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© 2021 日本臨床皮膚科医会
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