日本臨床皮膚科医会雑誌
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論文
成人アトピー性皮膚炎患者を対象としたデルゴシチニブ軟膏の部位・徴候別の有効性及び安全性
〜国内第Ⅲ相試験の追加解析〜
五十嵐 敦之中川 秀己
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2021 年 38 巻 6 号 p. 898-905

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抄録
目的:日本人成人アトピー性皮膚炎患者に対する新規ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬デルゴシチニブ軟膏0.5%(以下,本軟膏)の部位別及び徴候別の有効性,部位別の安全性について解析した. 方法:中等症から重症の成人アトピー性皮膚炎患者を対象とした国内第III相プラセボ対照二重盲検比較試験(第1部,4週)と非対照非盲検の継続投与試験(第2部,24週)を解析した.本軟膏の有効性は,第1部のEczema Area and Severity Index(EASI)スコアを部位別及び徴候別で解析した.本軟膏の部位別の安全性は,第1部及び第2部を統合して解析した. 結果:第1部における部位別のEASIスコア変化率は,頭頸部,上肢,体幹及び下肢のいずれにおいても,本軟膏群がプラセボ群より有意に改善した(いずれもp<0.0001) .徴候別のEASIスコア変化率は,紅斑,浸潤/丘疹,搔破痕,および苔癬化のいずれにおいても,本軟膏群がプラセボ群より有意に改善した(いずれもp<0.0001) .  副作用発現は第1部において本軟膏群で5 例(4.7%)に5 件,プラセボ群で1 例(1.9%)に2 件であり,第1部及び第2部を通じ発現部位に偏りは認めなかった. 結論: デルゴシチニブ軟膏は,中等症から重症の日本人成人アトピー性皮膚炎患者で部位及び徴候によらず有効性を示した.最長28週間の塗布でも安全性に関して部位によらず良好な忍容性が認められた.
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© 2021 日本臨床皮膚科医会
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