日本臨床皮膚科医会雑誌
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論文
成人アトピー性皮膚炎患者を対象としたデルゴシチニブ軟膏の重症度別の安全性および有効性
〜国内第III相試験の追加解析〜
五十嵐 敦之中川 秀己
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2022 年 39 巻 4 号 p. 593-599

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抄録

目的:新規ヤヌスキナーゼ(Janus kinase, JAK)阻害薬デルゴシチニブ軟膏0.5%(本軟膏)の日本人成人アトピー性皮膚炎(AD)患者における重症度別安全性および有効性を検討した. 方法:軽症から重症の成人AD患者352例を対象とした国内第III相,多施設共同,非対照,非盲検,長期投与試験(52週間)の結果を事後解析した.本軟膏塗布開始時のInvestigator’s Global Assessment(IGA)スコアによる重症度別およびステロイド外用薬(TCS)使用の有無別に,本軟膏の安全性及び有効性を累積modified Eczema Area and Severity Index50/75%低下(累積mEASI50/75)達成割合で評価した. 結果:塗布開始時IGA2(軽症)の副作用発現例数は23/110例(20.9%),3(中等症)では45/215例(20.9%),4(重症)では1/27例(3.7%)であった.TCS非使用例における副作用発現数は25/128例(19.5%),TCS使用例では44/224例(19.6%)であった.本軟膏単剤使用集団128例におけるIGA2のmEASI50達成割合(累積)は87.0%,mEASI75達成割合(累積)は69.6%であり,IGA3ではそれぞれ72.2%,62.5%,IGA4では85.7%,14.3%であった.全被験者におけるIGA2のmEASI50達成割合は78.8%,mEASI75達成割合は54.8%であり,IGA3ではそれぞれ62.8%,43.7%,IGA4では74.1%,37.0%であった. 結論:本軟膏はいずれの重症度においても副作用発現に大きな違いはなく,ADの皮疹を改善する有効性が認められたことから,重症度を問わず使用できる可能性がある.本軟膏単剤でのADコントロールだけでなく重症度や症状に合わせ適切にTCS併用を考慮することが重要である.

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