日本臨床皮膚科医会雑誌
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論文
甲状腺癌や胃平滑筋肉腫の皮膚転移と鑑別を要した悪性グロムス腫瘍の1例
矢富 良寛中捨 克輝
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2023 年 40 巻 4 号 p. 555-558

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抄録
一般的にグロムス腫瘍は爪床など四肢末梢に好発し,疼痛を伴うことが多い良性腫瘍であるが,核分裂像や浸潤増殖像などの悪性を示唆する所見を伴ったグロムス腫瘍が存在する。症例は69歳女性。初診約8年前に多発肺転移を伴う甲状腺乳頭癌と診断された。甲状腺全摘術とTSH抑制療法を行い,肺転移病変は増大なく経過した。初診約1か月前に肺転移病変の増大,貧血の進行,黒色便を認め,当院消化器内科に入院した。上部内視鏡検査を施行し胃壁に隆起性病変を認め,胃平滑筋肉腫と診断された。入院時から右中指腹側に直径15㎜の広基茎性で表面が平滑な易出血性紅色結節を認め,当科紹介受診した。転移性皮膚腫瘍を疑い,診断目的に単純切除した。肉眼的には薄い被膜で覆われた充実性腫瘤で,病理学的には真皮層で類円形の核と弱好酸性の比較的広い胞体を有する異型細胞が密に増殖しており,核分裂像が多くみられた。免疫染色では腫瘍細胞はCD34,CD68,AE1/AE3,CK7,CK20,TTF-1,サイログロブリン,LCA,S-100,HMB-45,CEA,GCDFP-15,desminが陰性,Melan-Aが弱陽性,a-SMA,vimentinが陽性,MIB-1 Indexは40%程度だった。以上の結果より,悪性グロムス腫瘍と診断し,臨床経過や病理所見から甲状腺癌や胃平滑筋肉腫の皮膚転移と鑑別を要した。
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© 2023 日本臨床皮膚科医会
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