日本臨床皮膚科医会雑誌
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論文
爪外用抗真菌薬治療抵抗性の爪白癬患者に対するホスラブコナゾール切り替え治療の有効性と安全性に関するレトロスペクティブ研究
南 健野中 勇佑
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2023 年 40 巻 5 号 p. 645-652

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抄録

実臨床下において爪外用抗真菌薬(以下,外用薬)からホスラブコナゾールL-リシンエタノール付加物(ネイリン®カプセル,以下,F-RVCZ)に切り替えられた爪白癬患者を対象に,F-RVCZの有効性と安全性に関する,単機関,探索的,後ろ向き観察研究を実施した.  前治療薬である外用薬の平均投与期間は24.3ヵ月で,いずれの症例も効果不十分でF-RVCZに切り替えられ,治療開始時の平均混濁比は7.8と重度の症例が多かったが,F-RVCZの有効性評価対象例では48週時の臨床的治癒率は62.5%であったことから,外用薬からの切り替え時にもF-RVCZは高い有効性を示すことが明らかとなった.副作用が13例(25.0%)に認められ,うち3例が中止に至ったが,いずれも既知の症状で軽快・回復が確認された.外用薬で効果不十分の場合,相互作用や安全性への懸念が比較的少なく,12週間の短期投与で高い治療効果が期待できるF-RVCZは切り替え先として有用な選択肢の一つとなり得る.

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© 2023 日本臨床皮膚科医会
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