日本臨床皮膚科医会雑誌
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論文
真菌症に対する苛性カリ標本の診断技術と卒後教育
〜苛性カリ標本の診断アルゴリズム〜
前田 学
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2024 年 41 巻 1 号 p. 40-

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抄録

皮膚真菌症の診断には苛性カリ標本での菌要素確認が必須であるが,この診断が正確かどうかを評価する目的で12問の真菌症写真と苛性カリ標本を図示した設問紙を40名の皮膚科医に配布し,菌要素陽性か陰性か不明かを問う設問で返却された回答を採点した.同時に皮膚科経験年数も質問し,皮膚科医を4群に分類した.すなわちA群(6名);卒後1~5年未満,B群(11名);5~20年未満,C群(12名);20年以上で真菌関連の学会発表や論文のないもの及びD群(11名):20年以上で学会発表や論文を有するものとし,各群別に得点結果を比較検討した結果,D群が24点満点中12.7±3.9点と最も得点が高く,次にA群(11.7±2.4点),C群(11.6±3.5点)と続き,B群(11.5±6.4点)が最も低かったが,有意差はみられなかった.この結果より,苛性カリ標本の菌要素を正確に判定するためには卒後教育や研修が重要であると考えられる.苛性カリ標本から菌要素を判定するためのアルゴリズムを提案した.今後,卒後教育や研修に有用と考えられる.

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