抄録
40歳,男性.初診の20年前に他院で慢性膿皮症の診断を受け,抗菌薬投与を受けていた.両臀部から両大腿後面の出血,排膿,疼痛を主訴に受診した.初診時,両臀部から大腿後面にかけて排膿を伴う瘻孔が多数あり,広範囲で硬結を触知した.化膿性汗腺炎と診断し,根治を目的とした広範囲な切除と植皮を行った.広範囲の病理組織で瘻孔部に核異型があり細胞質が豊富な好酸性の有棘細胞が増殖しており,有棘細胞癌と診断した.放射線療法と化学療法を行ったが,15ヶ月後,死亡した.臀部化膿性汗腺炎は根治術を行わず対症療法で経過観察されることもあるが,慢性炎症に伴って瘻孔内に有棘細胞癌が発症する可能性もあるものの臨床的に癌化を早期に疑うことは困難であるため,重症例では積極的に切除することが重要である.