日本臨床生理学会雑誌
Online ISSN : 2435-1695
Print ISSN : 0286-7052
原著
血管内皮機能検査Flow-mediated Vasodilation(FMD)の基準値についての検討
丸橋 達也木原 康樹冨山 博史東 幸仁
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2019 年 49 巻 3 号 p. 137-142

詳細
抄録

 背景:上腕動脈を用いたflow-mediated vasodilation(FMD)検査は,血管内皮機能測定方法として汎用されている.しかし,明確な基準値は設定されておらず,測定結果の解釈も一定のものはない.本研究では,FMD の正常値と境界値,異常値の検討を行った.

 方法:正常値と境界値のカットオフ値の設定には,日本で行われた多施設共同研究FMD-J研究のデータを用いた.境界値と異常値のカットオフ値の設定は,これまでに報告されているFMD 値と心血管疾患発症の関連を前向きに検討した臨床研究から解析を行った.

 結果:FMD-J 研究のデータベースに登録された健常人1617 名と動脈硬化危険因子保有者4796 名のFMD カットオフ値は,ROC 解析より6.9%であった.また,これまでに報告されている4 つの臨床研究における心血管疾患発症高リスク患者のFMD カットオフ値は,2.9%~4.7%であった.

 結論:FMD の正常値は7%以上,異常値は4%未満,境界値は4%~ 7%が妥当と考えられた.

著者関連情報
© 2019 日本臨床生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top