2019 年 49 巻 3 号 p. 143-150
本研究は,長期にわたる収縮期血圧(SBP)の変動と腎機能低下速度との関連について検討した.2008 年に特定健診を受診し,腎機能が正常で6 年間追跡可能であった男性303 名を対象とした.本研究では,観察期間中の健診受診毎のSBP の標準偏差(SD)を血圧変動と定義した.SBP のSD 値を対象者数が等しくなるように4 分割し,4 群間における腎機能低下速度の差異について検討した.その結果,SBP のSD 値が最も大きい群は,他の群に比べてeGFRの低下速度が有意に速く,SBP のSD 値とeGFR 低下速度は量-反応関係にあることが明らかとなった.また,観察期間中のSBP の平均値とSD 値の組合せがeGFR 低下速度に及ぼす影響について検討したところ,SBP の平均値が高く,SD 値が大きいほど腎機能低下速度が有意に速かった.本研究の結果より,長期にわたるSBP の高値とその変動は腎機能低下速度と関連することが明らかにされた.