日本臨床生理学会雑誌
Online ISSN : 2435-1695
Print ISSN : 0286-7052
原著
当院健診センターにおける血清Helicobacter pylori IgG 抗体の使用経験
田中 匡実岩男 暁子小川 恭子中村 優美若林 真理子柳内 綾子布袋屋 修荒木 昭博
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2023 年 53 巻 2 号 p. 47-51

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抄録

 【背景】近年 Helicobacter pylori(HP)の血清抗体価に関して,簡便性からHP の血清抗体価の測定法はELISA 法(E 法)よりもLatex 法(L 法)が使用されることが多くなっている.L 法は簡便であるが,一方で偽陽性が多いとされる.当院におけるHP 血清抗体価の使用経験について報告する.

 【方法・対象】2019 年度と2020 年度の同月に当院健診センターを受診し内視鏡検査が施行され,E 法とL 法両方でHP 血清抗体価が測定されている3691 症例を対象とした.

 【結果】(1)E法で陰性であり,かつL 法が陽性である時は女性であること,胃粘膜に萎縮があることで有意差を認めた.(2)HP 未感染症例の中でE 法が陰性,かつL法が陽性となった時に有意差を認めたのは女性であることであった.(3)HP 既往感染と考えられた症例の中でL 法が陽性となる時は女性であること,年齢が若年であることで有意差を認めた.

 【結語】L 法の偽陽性の因子として女性であることが重要であった.

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