2023 年 53 巻 5 号 p. 133-139
背景:高尿酸血症と糖尿病の関係は複雑で,不明な点が少なくない.
対象と方法:高尿酸血症に対する薬物治療を行っていない4259 例を対象とし,糖尿病薬を用いていない3888 例と,糖尿病薬投与中の371 例の2 群に分類し,さらにHbA1c 値を5 つのカテゴリーに分けてその平均尿酸値を比較した.またeGFR の影響についても検討した.
結果:1)糖尿病薬非投与群と糖尿病薬投与群の平均尿酸値は,それぞれ6.0 ± 1.2 mg/dL,5.5 ± 1.2 mg/dL で,前者において有意に平均尿酸値が高かった(p< 0.001).2)糖尿病薬非投与群における平均尿酸値は,HbA1c < 6.5 のカテゴリーではHbA1c の値が高くなるにつれて尿酸値も上昇したが,HbA1c が6.5 を超えると下降に転じ逆U 字形を呈した.またHbA1c と尿酸値の間に,HbA1c < 6.5 群では有意の正相関,HbA1c ≧ 6.5 群では有意の逆相関を認めた.3)糖尿病薬投与群ではHbA1c のカテゴリーごとの平均尿酸値はフラットで,上記の相関関係も見られなかった.4)糖尿病薬非投与群を腎機能低下群と腎機能正常群に分けて上記の関係を見たところ,平均尿酸値は腎機能低下群において6.6 ± 1.2 mg/dL で,腎機能正常群の5.9 ± 1.2 mg/dL より有意に高かった(p < 0.001).また腎機能正常群ではHbA1c 値と尿酸値の間に逆U 字形関係が見られるが,腎機能低下群ではこの関係は見られなかった.
結論: 血清尿酸値とHbA1c 値の間には,糖尿病薬非投与群において逆U 字関係を認めるが,この関係は糖尿病薬投与群では見られなかった.また腎機能正常群では同様の逆U 字関係が見られるが,腎機能低下群ではこの関係は見られなかった.心血管リスクを評価する際に,これらの成績を考慮する必要があると考えられた.