日本臨床生理学会雑誌
Online ISSN : 2435-1695
Print ISSN : 0286-7052
総説
呼吸リハビリテーションの現状と展望
塩谷 隆信加賀屋 勇気照井 佳乃大倉 和貴川越 厚良
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ジャーナル オープンアクセス

2024 年 54 巻 2 号 p. 71-81

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抄録

 近年,呼吸リハビリテーション(呼吸リハ)は,その科学的エビデンスが確立されるとともに,新しい知見が相次いで報告されてきている.呼吸リハのプログラムの中では,患者教育の中で特にセルフマネージメント(自己管理)と行動変容が重要視されるようになっている.最近のスマートフォンやタブレット,パーソナルコンピューターなどの情報機器および情報通信技術の進歩に伴い,医療の分野ではオンライン診療や遠隔医療が拡大し,これとともに遠隔リハビリテーションも普及してきている.

 さらに,行動変容プログラムを治療プログラムに取り入れると,薬物療法による運動耐容能の改善効果が大きくなることが多施設における無作為臨床研究において報告されている.また,呼吸リハプログラムに呼吸筋トレーニング(IMT)を併用することで歩数,身体活動量が改善する報告が増えている. 最新のCochrane Library(2023)のsystematic review では,COPDにおいて呼吸リハにIMT を併用すると呼吸筋低下群においても非低下群においても最大吸気圧(MIP)が有意に増加すると報告されている.

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© 2024 日本臨床生理学会
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