2025 年 55 巻 1 号 p. 23-28
背景:血液中を循環する好塩基球は,血管外遊走,局所活性化を経てアレルギー反応に関与する.遊走でケモカインが関わった後,局所の活性化にケモカインが再び関わりうるかを2 段階刺激モデルで検討した.
方法:アレルギー疾患の既往のない健常者の好塩基球を用いた.まず30 分間ケモカインにより前処理を行い,その後45 分間ケモカイン存在下でIgE 依存性刺激を加えて活性化し,ヒスタミン遊離を測定した.
結果:活性化刺激時に含めたMCP-1 の増強効果に着目すると,前処理なしの場合(24.3%±6.3%)と比べて,MCP-1 で前処理をした場合(6.8%± 4.1%)は有意に増強効果が減少していた(p < 0.01).一方でeotaxin の増強効果に着目すると,eotaxin の前処理なしの場合の増強(9.5%±8.0%)と比べて,eotaxin で前処理した場合(8.8%±3.8%)は減少せず保たれていた(p > 0.05).
結論:好塩基球は,eotaxin により前処理されても,eotaxin をIgE 依存性刺激と共に好塩基球に加えた場合のヒスタミン遊離増強効果を保つが,MCP-1 により前処理された場合は,MCP-1 による遊離増強効果が低下した.前処理と活性化時のケモカインの種類によって,好塩基球の活性化に及ぼすケモカインの増強効果は異なることが示された.