2025 年 55 巻 1 号 p. 15-21
本研究は,加熱式タバコならびに紙巻きタバコの使用が血管内皮機能に及ぼす急性影響について検討することを目的とした.喫煙習慣があり,本研究への同意が得られた健常成人男性8 名を対象とした.対象者には30 分以上の安静の後,喫煙前と加熱式タバコならびに紙巻きタバコ使用後15 分,30 分,60 分,90 分,120 分に血管内皮機能を測定した.血管内皮機能は,反応性充血指数(RHI)を用いて評価した.加熱式タバコ条件では,喫煙前に比べて喫煙後90 分,120 分のRHI が有意に低値を示した.紙巻きタバコ条件では,喫煙前に比べて喫煙後 60 分,90 分,120 分のRHI が有意に低値を示したが,いずれの時点も両条件間に有意な差は認められなかった.また,喫煙前から喫煙後120 分までのRHI の曲線下面積も両条件間に有意な差は認められなかった.本研究の結果から,加熱式タバコと紙巻きタバコ使用による血管内皮機能に及ぼす急性影響は同等である可能性が示唆された.