論文ID: 202435
【目的】高齢者における脊椎変性疾患術後の生活空間の経時的変化と術後の生活空間に影響を与える術前要因を明らかにし,生活空間狭小化の予防に役立てることとした。【方法】脊椎変性疾患に対して手術を施行した50名を対象とした(平均年齢76.8歳)。生活空間の尺度であるLife Space Assessment(LSA)は,術前,術後3ヵ月,術後6ヵ月に評価した。統計解析は,LSAの経時的変化を解析するために混合効果モデルを用いた。次に術後のLSAに影響を及ぼす術前要因を検討するために単回帰および重回帰分析を行った。従属変数は術後6ヵ月のLSAとし,独立変数は術前要因とした。【結果】混合効果モデルの結果,LSAは術前と比較し,術後3ヵ月,術後6ヵ月で有意な改善を認めた。単回帰および重回帰分析の結果,Body Mass Index (BMI),modified Gait Efficacy Scale(mGES)が有意水準を満たした。【結論】高齢者における脊椎変性疾患術後の生活空間は術後に改善を認めた。術後の生活空間には,術前のBMI,mGESが影響を及ぼすことが明らかとなった。