産業医学
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慢性弗素中毒の実験的研究 : (I) 微量弗素の生体におよぼす影響
吉田 康久
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1959 年 1 巻 7-8 号 p. 683-690

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抄録

低濃度弗素の生体におよぼす作用を明らかにするため,家兎に弗化ソーダを与え,20ヵ月間にわたり,その影響を観察した。幼若家兎12匹を4群に分かち,pro kg 0.017,0.17,1.67 mgの弗素を経口的に投与し,つぎのごとき結果を得た。 1. 体重,発育には差が認められない。 2.血液性状にはほとんど変化がない。 3. 実験後7ヵ月より斑状歯症状,切歯の咬耕がみられる。 4. 長管骨に骨皮質肥厚,厚経増大,彎曲度増加などの骨硬化症状が認められる。 5. 心電図には著変が認められない。 6. 病理組織学的に肝細胞に溷濁腫脹,空胞変性,腎細尿管に溷濁腫脹,心筋線維に軽度萎縮などが認められ,その程度は投与弗素量に比例する。 7. 弗素投与家兎の産仔にも病理組織学的に退行性変性が認められる。

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