産業医学
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慢性弗素中毒の実験的研究 : (II) 微量弗素定量法
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1959 年 1 巻 7-8 号 p. 691-699

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抄録

慢性弗素中毒を考究する場合に意義を有する微量弗素定量法について検討を行なった。従来のTh-Alizarin法の褪色度比色法ならびに光電比色滴定法を改良し,さらに精度を向下さすための条件を定めた。本法はF-とTh-Alizarinレーキとの反応にもとづいており,F-はTh++++と無色の錯イオンを形成することによって,レーキの濃度を定量的に変化せしめる現象を応用している。用いた褪色度比色法と光電比色滴定法は微量弗素定量として適当であり,つぎのごとき結果を得た。 1. 滴定法は検量線が直線になるので,routine workに適している。 2. 両法ともF-0.1γ/25ml (0.004ppm)まで測定できる。 3. F-0∼20γ/25mlにわたり,95∼105%の再現性がある。 4. 測定はレーキ発色後,正確に5分後に行なうことが必要である。 5. pHは正確度ならびに精度に影響を及ぼすので,測定はpH3.00で行なうことが必要である。 6. 光電比色終点滴定法においては精度の向上のために終点をE=0.080と定めた。 7. 本法に及ぼす妨害イオンの影響の程度はCl-,Ca++,NH4+,NO3-などは少なく,Mg++,Mn++,So4--などは中等度であり,Al+++,HPO4--などはきわめて高い。

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