産業医学
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慢性弗素中毒の実験的研究 : (III) 硬組織中に含まれる弗素の定量
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1959 年 1 巻 7-8 号 p. 700-707

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抄録

慢性弗素中毒において骨硬化症および斑状歯形成などの症状が認められるが,これらの変性と硬組織含有弗素量との関係を明らかにするために,家兎を用い実験的研究を行なった。 硬組織中の弗素の定量に最も適した自動水蒸気蒸溜装置を作り,試料を分析し,なおその際Sodium Fusion法,イオン交換樹脂法などで分解過程ならびに妨害イオンについて検討を加え,つぎのごとき結果を得た。 1. 蒸溜時間40分,溜液の量250mlと定め,96%以上の回収成績が得られた。 2. 過塩素酸による分解は完全で,また妨害イオンの影響はなかった。 3. 対照例においても大腿骨,切歯においてそれらの灰化物につき,それぞれ248,214ppmの弗素を含む。 4. 骨の変性は同じく625ppm程度以上の弗素が沈着したときに認められる。 5. 斑状歯をきたす限界は同じく1973ppm程度以上である。 6. 咬耕は同じく623ppm程度以上になるとおこる。

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