抄録
マウス組織中のトルエンの分布をトルエン腹腔内注射後のガスクロマトグラフィーおよび14Cトルエン注射後の放射能値の測定によって調べた.
その成績は以下のごとくである.
1) ガスクロマトグラフィーの測定成績では, トルエンは, 肝臓, 腎臓, 脳の順に多いが, 時間に伴う減少度では, 脳が腎臓, 肝臓にくらべて少なかった.
2) 14Cトルエン注射後には, 血液よりも高い放射能が脳に認められた.また脂肪組織にも認められた.
3) 以上の成績から, トルエンはリピドの多く含まれる大脳組織および脂肪組織に親和性があることが推定された.
