1982 年 24 巻 6 号 p. 608-615
カテコールアミンは運動負荷時に変動し,血液の凝固・線溶動態に関与することから,運動負荷時のFDP (fibrine and fifrinogen degradation products)をlactate dehydrogenase (LDH)やcreatine phosphokinase (CPK), lactic acid (LA), creatine (CRE), Na, K, Pとともに測定,観察した. 1) 教育学体育専攻の学生のバレーボールトレーニング経過中のCPK,LDHはトレーニング開始前と比較して有意に活性が増大した.前日のトレーニング終了後15時間経過した測定当日のトレーニング開始前値はすでに正常値を逸脱しており前日の影響のあることが示されたがさらに当日の新たな負荷により更に活性値に変動を示し,運動量すなわち身体的負荷量の大なる者に著増した. 2) LAは正常値範囲内での変動を示したがトレーニングの不十分な,適応の十分でない1年生においては前値に比し有意に増殖した. 3) Pの変動は正常値範囲内であったが前値とは有意差があり,個人別に観察するとCPK, FDPと変動傾向の一致性が見られた. 4) FDPの変動はCPK, Pの変動と傾向の一致性がみられ,身体的負荷量の大なる者に増大するのが観察されたが,さらに精神的負荷の大なる者にとくに著増し,FDPは身体的負荷のみならず精神的負荷に関する指標となりうる可能性の示唆が得られた.