産業衛生学雑誌
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子供を持つ女性の労働負担に関する生理心理学的調査
須藤 綾子三木 圭一矢冨 直美織田 弥生川崎 道文
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1995 年 37 巻 4 号 p. 245-252

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抄録
子供をもって働く女性(有子女性)の職場と家庭における労働負担の程度を,子供をもつ男性や独身女性の場合と比較検討した.勤務日と休日の午前(10時-12時),午後(12時-17時),夕刻(17時-19時)および夜間(19時-22時)の尿中カテコールアミン排泄量および唾液中コルチゾール濃度,心拍数,血圧および自覚症状訴え率を測定した. 3群とも,勤務日の午前および午後の尿中アドレナリン排泄量は休日のそれよりも有意に多かった.有子女性では,夜間のアドレナリン排泄量の勤務日/休日の差が有子男性よりも大きい傾向にあった.また,有子女性では午後,夕刻および夜間の尿中ノルアドレナリン排泄量と唾液中コルチゾール濃度はともに勤務日の方が休日よりも高く,勤務日の夕刻と夜間の心拍数は休日のそれよりも高い傾向にあったが,他の2群ではそのような傾向は認められなかった.有子女性では自覚症状訴え率は勤務日には時間の経過とともに増加したが,休日には同様な時間変化は見られなかった.以上,これら生理心理学的検査結果からは,総じて有子女性では勤務日における職場および家庭の労働負担が有子男性および独身女性より大きいことを示すものと判断された.
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© 社団法人 日本産業衛生学会
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