産業衛生学雑誌
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総説
  • 井上 嶺子, 関根 康寛, 渡辺 和広, 小田切 優子, 島津 明人, 川上 憲人, 井上 彰臣, 堤 明純
    原稿種別: 総説
    2026 年68 巻1 号 p. 1-15
    発行日: 2026/01/20
    公開日: 2026/01/25
    [早期公開] 公開日: 2025/10/30
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    目的:職業性ストレス簡易調査票(Brief Job Stress Questionnaire, BJSQ)を用いたストレスチェック結果に基づく集団分析に関する工夫事例を整理することを目的とした.対象と方法:システマティックレビューを行った.2023年8月7日に医中誌Web,2023年9月28日にPubMedを用いて文献の検索を実施した.組み入れ基準は,①労働者を対象として,②BJSQか新BJSQを用いた調査を行い,③集団分析を行って,④ストレスチェック制度実施マニュアルに記載された標準的な方法にとどまらない工夫が集団分析あるいはその活用に関して報告され,⑤日本語か英語で表記されているものとした.研究分担者2名で議論の上で本研究に組み入れ,その内容を質的に要約した.結果:医中誌Webの検索では204件,PubMedの検索では94件が抽出され,うち工夫があったと判断した30事例を組み入れた.BJSQや新BJSQの項目を用いた集団分析の工夫では,仕事のストレス判定図の作成に必要な項目だけでなく,BJSQの全項目を分析対象として詳細な職場環境の把握に努めていた例が認められた.BJSQや新BJSQ以外の指標を併用した工夫では,労働生産性を測定してBJSQの各項目との関連を検討し,改善を行う職場環境の優先順位の検討に役立てていた例があった.集団分析結果のフィードバックに際しての工夫では,支援者が管理職との面談を行い職場の実態とつなげて結果を解釈する支援が行われている例があった.アクションプランの立案の工夫では,事業場内の良好事例を集積することで議論を効率化する例が認められた.考察と結論:集団分析やその活用にあたっては,集団分析に使用するBJSQや新BJSQの項目に対する工夫,BJSQや新BJSQに加えて他の指標を併用する工夫,フィードバックに際して結果の返却に加えて面談等を組み合わせる工夫,および既存のアクションチェックリストに加えて事業場内の良好事例を集積する工夫等が認められた.本研究は,集団分析とのその活用に関する工夫の実践例を整理したことで,今後の集団分析や職場環境の改善活動において参考となる情報を提示した.一方,組み入れた事例の多くが,実践した内容の報告にとどまっており,工夫による効果に言及した事例は極めて少なかった.

原著
  • 大島 崚太郎, 大河内 博, 久保田 裕仁
    原稿種別: 原著
    2026 年68 巻1 号 p. 16-25
    発行日: 2026/01/20
    公開日: 2026/01/25
    [早期公開] 公開日: 2025/11/11
    ジャーナル フリー HTML

    目的:現在JIS規格において,国内でマスク面体と顔面の密着性評価のために用いられている試験ガイドはフィットテストへの適用が認められていない.本研究では,マスク非破壊で密着性評価を行える試験ガイドについて,JIS短縮法かつ光散乱法を用いた計測機器によるフィットテストへの適用可否を判断することを目的とした.方法:JIS規格で認められたプローブ接続を利用した値を基準とし,試験ガイド及び使い捨て試験ガイドを使用した時のフィットファクター値(以下,FF値)と比較した.評価方法には,米国国家規格協会(ANSI)の規格Z88.10-2010のAnnex A2による判定を利用した.結果:ANSI規格を用いて評価した結果,試験ガイド及び使い捨て試験ガイド共に,挿入時のFF値がプローブ接続時との比較で基準値の必須項目及び付加的項目を満たしていた.このことから,両ガイドがプローブ接続と同等の合否判定が可能な方法であると評価され,フィットテストへ適用可能であることが示された,また,機差の影響を評価に含めないことを目的に定められた除外領域はFF値72–138と算出され,全データの約11%が評価から除外された.この領域範囲は,有効データ率が機器2台の合否一致率と概ね一致したことから妥当であると判断した.さらに両ガイドについて,プローブ接続時との合否判定の一致率は約8割であった.先行研究では試験ガイド挿入時に動作の大きさが原因でプローブ接続時よりもFF値が低くなりやすいことが言及されていたが,これは合否判定に影響するほどではないことが本研究で示唆された.このことから,プローブ接続時との合否一致率が8割であることは動作による影響ではなく,厳しい評価が可能であるという試験ガイドそのものの特性であると判断された.結論:国内でマスク面体と顔面との密着性試験に広く用いられてきた試験ガイドを用いたフィットテストについて,使い捨て式防じんマスクに対して光散乱法を用いた計測機器によるJIS短縮法で行うことで妥当性を評価した.この結果として,ANSI規格による基準値では試験ガイド・使い捨て試験ガイド共にプローブ接続と同等の評価が行えるという評価が得られた.このことから,試験ガイド及び使い捨て試験ガイドがフィットテストに適用可能であることが示された.また,両試験ガイドは挿入時の漏れの影響で厳しい評価が得られると判断したが,これは偽合格判定リスク減少に役立つ.すなわち,労働者保護に信頼性のある試験方法として利用可能であると言える.

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